適応障害で労災認定は可能か?傷病手当金より得なのか?調べてみた

pak86_yarinaoshiwomeiji20140125_tp_v

こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!

わたしは以前、会社での過労とストレスが原因で、適応障害になり3ヶ月ほど休職しました。

合わせて読みたい 適応障害とは?その症状とは?〜適応障害闘病記1〜 | No.2宣言
このページでは、そもそも適応障害とは何か?どんなどんな症状なのか?についての基礎知識をまとめています。

当時は、傷病手当金を受給していましたが、会社でのストレスが原因で発症したことは割と明白であったので、今考えると「労災」という選択肢もあったのかもと、ふと思いました。当時は考えもしませんでしたけど。

そこで今回は、適応障害で労災は降りるのか?傷病手当金よりも得なのか?調べてみました。

適応障害で労災認定は可能か?

会社でのストレスが原因で適応障害になった場合、労災認定される可能性はあるのでしょうか。

「働きすぎが原因で体調を壊した」は労災

分かりやすい労災といえば、通勤中の交通事故であったり、仕事中に作業用の機械でケガをするようなケースがありますが、働きすぎが原因で身体を壊した場合でも、労災が認められるとのことです。

それは例えば肉体労働者が、働きすぎによって腰を痛めたり、パソコンの使いすぎによって目を痛めたようなケースでも、労災が認められる可能性があるようです。

適応障害でも労災が認められる可能性はある

適応障害やうつ病は、どちらもストレスを原因とする疾患ですが、その発生原因が、明らかに仕事上のストレスであると認められる場合には、適応障害であったとしても、労災認定される可能性はあります

根拠として、厚生労働省の資料によると、適応障害やうつ病は、労災認定の対象となる精神障害のリストの中に含まれています。

労災認定の対象となる精神障害
※筆者注:ちなみに適応障害は、F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害に該当します。

実際に、うつ病ではでなく適応障害であっても、労災認定されたケースもあります。

例えば、三菱電機の元社員が2014年4月頃に適応障害になったケースが、藤沢労働基準監督署によって労災認定されました。

三菱電機の社員だった男性(31)が長時間労働によって精神疾患の「適応障害」を発症したとして、藤沢労働基準監督署(神奈川県藤沢市)が労災認定していたことが25日、分かった。代理人弁護士らが都内で記者会見し明らかにした。認定は24日付。会見に同席した男性は「残業時間の過少申告を上司から強要されていた」と主張した。(引用:日本経済新聞社

つまり、適応障害で労災が認められる可能性はあるということです。

適応障害になった原因の認定も必要

もちろん、適応障害が労災認定の対象疾患に入っているからといって、全てのケースで労災認定になるわけではありません。

先ほどの厚生労働省の資料によれば、

  • 発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められるか?
  • 業務以外の心理的負荷や個体側要因(既往の精神障害やアルコール依存など)による発病ではないか?

についても、労災認定の要件とされています。

つまり、適応障害になった原因が、仕事による強い心理的負荷(ストレス)であって、仕事以外のストレスや、他の病気の影響ではないということが認められる必要があるということです。

適応障害の労災認定率は?

ちなみに、これは適応障害に限らず、うつ病などを含んだ統計だと思われますが、精神障害の労災認定率は39%(平成24年)だそうです。(ソース:青葉法律事務所

こう見ると、適応障害で労災認定を受けるには、可能性はあるが結構ハードルが高いということが言えそうです。

次の章で詳しく書きますが、やはり労災認定を受けるに当たっては、適応障害になった原因が仕事であるという因果関係の証明がかなりネックになってくるようです。

労働者に過失があっても、労災は認められる

なお、労災は、労働者に過失があったとしても、認められるというルールがあります。

分かりやすい例でいえば、工場の機械でケガをしてしまった際、それが労働者の不注意によるものであったとしても、労災認定されるということです。

適応障害になる人は、かなりマジメな人が多いですから、適応障害になってしまったのは、自分が至らなかったからだとか、ストレス耐性が無いからだとか思いがちですが、労災認定に関して、誰に責任があるかというのは全く関係がありません。

適応障害で労災認定を受けるためには?

適応障害に限らず、労災認定を受けるには、

  1. 労基署へ出向いて(あるいは郵送による)申請
  2. 労基署による調査(会社や、本人、家族、友人、医師などへの聞き取りなど)

というステップが必要です。

労災は、基本的に労働者→労基署に申請するものなので、会社がやってくれるわけではありません。

特に労災の内容によっては、会社が非協力的になることも考えられます。

手続きは大変なのか?

実際に労災認定を受けようとすると、手続き関係は結構面倒くさそうなので覚悟が必要です。

労基署への申請自体は、郵送でも出来るようですが、他にも住民票や医師の診断書など、多くの書類が必要になります。

また、出来るところは郵送で請求や提出をしたとしても、労基署による聞き取り調査は原則として、労基署で行われるとのこと。

適応障害で休職しているような状態であれば、予定を立てて、その通りに外出してスケジュールをこなすのは、困難ですから、これはなかなか大変なことです。

労災認定を受けるために更にストレスを抱える可能性

そしてそれ以上に大変なのが、適応障害と仕事との因果関係を認めてもらうための「証拠集め」です。

仕事中に機械でケガをした、といった状況であれば、仕事とケガの因果関係は明らかですが、適応障害やうつ病の場合は、仕事との因果関係を明らかにするのが難しく、その分、証拠集めをするのが大変であったり、調査に時間がかかったりもするようです。

長い場合は、調査に1年以上かかることもあるんだとか。

先ほどの三菱電機の社員の場合、記事によると、適応障害を発症したのは2014年4月上旬ですが、労災が認定されたのは、2016年の11月。

労災の申請をしたタイミングは分かりませんが、結構時間がかかっているかも知れません。

ちなみに証拠集めには、こんなことを言われたということ(出来ればボイスレコーダー)などを証拠にしたりもするようです。

それに、もし適応障害になった原因が、職場の人間によるセクハラやパワハラなどによるストレスであれば、事実上、会社と対立するようになり、さらに大きなストレスを抱えることになってしまうかも知れません。

そうなれば、適応障害は改善に向かわなかったり、あるいは症状が悪化してしまうことも考えられます。

適応障害は労災認定を受けたほうが得なのか?

では、適応障害になってしまったら、労災認定を受けるとどれくらい得なのかを、見ていきましょう。

労災が認められて受け取れる給付の内容は?

仕事と適応障害との因果関係が認められて、労災認定された場合、どのような給付が受けられるのでしょうか。

ちなみに、給付は会社からではなく、国から拠出されるので、直接的に会社の負担となるわけではありません。

治療費

労災認定を受けると、労災認定された病気やケガに対する治療費は、全額給付されます。

適応障害の場合は、心療内科(あるいは精神科)への診察代、薬物治療を受けていれば薬代は給付されます。

保険適用外のカウンセリング代については、グレーです。

保険適用外でも労基署が認めるケースもあるようなので、医師が必要と認めた上であれば、カウンセリング代についても給付を受けられるかも知れません。確かなことは言えませんが。

休業している間の給料(休業補償)

適応障害によって休職をしている場合、労災認定を受けると、休業している期間の給料について、休業補償を受けることが出来ます。

ただし、全額ではありません。過去3ヶ月の平均賃金額の80%が毎月支給されます。(実際には日割計算)

この平均賃金額には、ボーナスは含まれませんが、残業代は含まれます。

例えば、残業代を含め、月に30万円の給料の人が、2ヶ月休職すると、ざっくり計算で、

30万円 × 80% × 2ヶ月 = 48万円

という感じです。

病気やケガの状況に応じた給付

適応障害の場合は関係ないですが、労災で受けられる給付には他にも、

  • 1年半以上治癒しない大きなケガや病気の場合には、別途給付
  • 介護が必要な場合には介護費用の給付
  • 後遺症が残った場合には、後遺症への給付
  • 労災によって亡くなったりした場合には、葬式にかかる費用、遺族への給付、子供の学費の給付

などもあります。

まとめると、適応障害で労災認定された場合に受け取れるのは、治療費全額+休業時の給料の80%ということになります。

労災と傷病手当金との違いは?

適応障害で会社を休職した場合、「傷病手当金」という健康保険の制度を受けることが出来ます。

しかし、労災と傷病手当金を両方受給することは出来ません。受給できるのは、どちらか一方となります。

では、労災と傷病手当金の違いは何でしょうか。

傷病手当金は原因に関わらず受給できる

傷病手当金は、病気やケガによって仕事ができない状態になり、事業主から報酬が得られない状態で、医師の診断書があれば、受給することが出来ます。

つまり、労災の場合は、その病気と仕事との因果関係が証明されなければ認定されませんが、傷病手当金の場合は、原因に関わらず受給することが出来るという違いがあります。

適応障害やうつ病のような、業務との因果関係の証明が難しい精神疾患であっても、難しい審査無く受給することが出来るということです。

傷病手当金の受給額は、平均賃金の3分の2

労災が認定された場合、平均賃金の80%を受給できますが、傷病手当金の場合は3分の2。つまり約67%です。

また、傷病手当金の場合は、休業補償のみなので、治療費を請求することは出来ません。

傷病手当金は比較的早く受給できるが、期限は1年半

労災の場合は、労災認定を受けるまでに、かなりの時間、下手したら1年かかることが予想されますが、傷病手当金の場合は、書類に不備などがなければすぐに審査が下りるので、早ければ申請から1~2ヶ月ほどで受給することが出来ます。

まぁ、それでも1~2ヶ月、給料の空白が出来てしまうことにはなるんですけどね。

合わせて読みたい 傷病手当金の支給日はいつ?遅れがちな理由と対処法 | No.2宣言

傷病手当金は、受給できるタイミングが遅れがちで、数か月受け取れない場合もザラにあるのです。 今回は、傷病手当金の支給日が遅れる理由…

また、傷病手当金は受給できる期間が最大1年半と決まっていますが、労災の場合は条件を満たしていれば、期間の制限はありません。

最後に、労災と適応障害の違いを一覧にまとめてみました。

労災 傷病手当金
申請先 労基署 健康保険組合
申請のハードル かなり高い 高くない
受給までの期間 場合によっては長期化 1~2ヶ月
給付内容 休業給付(80%)+治療費+他 休業給付(60%)
給付期限 条件を満たせば期限なし 最長1年半

適応障害で労災は申請すべきか?

ということで今回は、適応障害で労災は認められるのか?どれくらいお得なのか?について調べ、まとめてきました。

最後に、適応障害になってしまった場合、労災は申請すべきなのかについて、わたし個人の意見も含めて。

まずは傷病手当金の申請を進めよう

適応障害で会社を休職することになった場合、まずは労災よりも先に、傷病手当金の申請を進めるべきです。

先ほど、傷病手当金と労災は、どちらか一方しか受給できないと書きましたが、先に傷病手当金の給付を受けておいて、その後で労災認定が下りたら、それまでに受給した傷病手当金を返納して、労災の給付を受けることは可能だからです。

適応障害で休職すると、給料が入らなくなり、生活費の問題が圧し掛かります。

労災は、認定されるまでに時間がかかる上に、認定される確率も、半分以下です。

少しでも早く生活費を確保して生活を安定させるために、出来るだけ早く、傷病手当金を受け取れるように手続きを進めましょう。

なるべく早く傷病手当を受け取るには、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

合わせて読みたい 傷病手当金の支給日はいつ?遅れがちな理由と対処法 | No.2宣言

傷病手当金は、受給できるタイミングが遅れがちで、数か月受け取れない場合もザラにあるのです。 今回は、傷病手当金の支給日が遅れる理由…

労災の申請は心身に余裕が出来てからにしよう

わたしは個人的には、適応障害なのであれば、しっかりと休養すれば、数ヶ月以内に体調は回復するので、労災を申請する必要はないと思います。

労災は傷病手当金よりどれくらい得か?

試しに、平均賃金が30万円の人が適応障害で3ヶ月休職した場合、労災と傷病手当金でどれくらいの差が生まれるかを計算してみましょう。

休業給付に関しては、月に4万円ほどの差が生まれることになります。(80%と67%の差)

治療費に関しては、月に2回の通院×薬代を含めて1回4千円程度=月に8千円程度の差です。

すると、3ヶ月間では、労災認定を受けたほうが、14万4千円得をするという計算になりますね。

労災を申請することによるデメリットも

14万円は結構な金額だと思うかも知れませんが、これは月給の半分にも満たない額です。

適応障害で休職しているような状態で、労災の申請を行うのは、精神上の負担がかなり大きいはずです。

そうなれば、適応障害は回復しないばかりか、症状が悪化してしまう可能性だってあります。それによって休職期間が1ヶ月延びたとしたら、それだけで損得は逆転することになりますよね。

つまり、適応障害の場合は労災を申請するメリットよりも、デメリットのほうが大きいとしか思えない。

治療期間の長くなるうつ病では、少し状況が変わってくるかも知れません。

しかし、治療期間の短い適応障害においては、労災を申請する必要はないというのが、わたしの考えです。

まずは、適応障害の治療に専念しましょう。

合わせて読みたい 適応障害の治療方法は?治療期間はどれくらい? | No.2宣言
適応障害の治療には、いくつかの方法があり、それぞれの治療が、何を目的としたものであるのか、理解することが大切です。

労災の申請するなら体調が回復してから

もしどうしても、会社が許せないなどの事情があって、労災の申請をしたいのであれば、ある程度体調が回復してからにすべきでしょう。

それでも、精神障害の労災認定率は39%です。

ある意味では、労基署を相手にした裁判みたいなものなので、自力で頑張るのではなく、専門家に相談したほうが良いかも知れませんね。

ちなみに三菱電機社員のケースでも、代理人弁護士を立てているようです。

参考:読めばわかる弁護士による解説

最後に、この記事を書くにあたって参考にしたサイトを挙げておきます。

【参考サイト】
労災って何?どんなときに何を受け取れる?読めばわかる弁護士による解説
精神障害の労災認定|厚生労働省
休業補償の計算方法を教えてください。|厚生労働省
「うつ病が労災かも?」の場合 – 退職後も傷病手当金をもらい続けるための相談サイトです。
うつ病が労災として認定される場合

では、今日も頑張らずに楽しんでいきましょう~!

<適応障害闘病記 目次>
【1】適応障害とは?その症状とは?
【2】適応障害の診断と心療内科 
【3】適応障害になりやすい人の性格特徴   
【4】適応障害は休職すべき疾患か?
【5】適応障害で休職中の過ごし方と苦しさ  
【6】適応障害と抗うつ薬や睡眠薬との付き合い方 
【7】適応障害からの復職のタイミングとリハビリ

<関連記事>
01.適応障害は甘えではありません!!
02.当り外れが多すぎる心療内科の選び方
03.適応障害の人への接し方 
04.適応障害とうつ病の違い 
05.自律神経失調症、心身症、適応障害の違い 
06.適応障害チェックの4つのポイント 
07.適応障害からの退職、転職、復職
08.適応障害は「社会不適応」ではない!
09.適応障害の治療方法は?治療期間は?
10.小林悠TBS元アナが適応障害を告白
11.適応障害で労災認定は可能か? ⇦ 今ココ

pak86_yarinaoshiwomeiji20140125_tp_v