こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!
ふだん電車に乗っているとよく、大学の入学者募集の広告をよく目にします。
その中で特に私が気になるのが、「就職内定率」を前面にアピールしている広告。
これには色々と思うところあるので、今回はこれに物申してみたいと思います。
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1.就職内定率の数字なんてマヤカシ
就職内定率をアピールしている広告を見ると、たいてい内定率が97%とか、ものすごく高い数字が書かれています。
これって本当に信じられる数字でしょうか?!
就職内定率ってどんな数字?
そもそも「就職内定率」と聞くと、どんな数字だと思いますか?
入学者のうち、卒業時に就職先が決まっている人の割合?それとも卒業予定者のうち、就職先が決まっている人の割合でしょうか?
実はどちらも違います。
厚生労働省が就職内定状況に関する調査結果をまとめていますが、その報道資料を見ると、次のように書かれています。
内定率とは、就職希望者に占める内定取得者の割合です。
引用:厚生労働省報道資料
これを読むと、内定率とは、卒業予定かつ就職を希望している人の中で、就職先が決まっている人の割合であることが分かります。
つまり、就職先が決まらずに就職を諦めた人は、集計から除外されているのです。そうすると数字はどんどん良くなっていく、というカラクリがあるわけです。
集計方法がブラックボックス
もっと言えば、広告でアピールされている就職内定率の根拠は、厚生労働省のような第三者による調査ではなく、大学が独自で調査したり、集計されているようです。
つまり、このデータはいくらでも操ることが出来るわけです。大学に都合の良いように。
操るというのは、まるっきり根拠のないデータをでっちあげている、というわけではありません。
これは本当に「例えば」の話ですが、卒業後の進路について学校側に報告がない人(たぶん内定していない)を集計対象から省いたり、まともに就職活動をしていない人を学校側の独自基準で省いたりすれば、どんどん数字は良くなっていきますよね。
このあたりの集計方法がブラックボックスである限り、広告でアピールされている「就職内定率」はとても信用できるものではないと私は思います。
2.内定をゴールにするべきではない
大学は内定率をアピールするべきではない、と私が思う理由は他にもあります。
大学は教育機関ですから、人材育成のミッションがあるはずです。
でも、内定率をアピールしている大学を見ると、その大学はどんな人材を育成しようとしているんだろう?って疑問に思うんです。
まさか内定できる人材を育てることなんでしょうか。それなら就活塾でいいです。
まともな教育機関なら、卒業後に社会で活躍できる人材を育てるのがゴールのはずですよね?
実際、せっかく内定を獲得しても、入社後比較的早いタイミングで離職するミスマッチは起きています。
厚生労働省の発表しているデータでは、大学卒業者の32.3%が3年以内に離職し、特に宿泊業・飲食サービス業に限れば、53.2%にまでのぼるとのことです。
もちろん離職の理由は人によって事情が異なりますが、ここまで離職率が高いというのは、相当のミスマッチが起きている、と言わざるを得ません。
これは就職活動をする学生の側にも言えることですが、せっかく内定を獲得しても、ミスマッチによって活躍出来なかったら、仕方のない話だと思います。
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3.大学は就職あっせん団体じゃない
最後に、そもそも、大学は教育機関や研究機関であって、就職あっせん団体ではないですよね。
大学が入学志願者募集の広告を出すなら、こういうことに力を入れている、こういうことが学べる、とかそのための風土や環境がある、とかそういったことをアピールするのが本筋だと思います。
例えば、東京経済大学なんかは広告をよく目にしますが、このあたりのアピールがすごく緻密にされているなあという印象です。Webサイトものぞいてみましたが、しっかり作りこまれていて、見やすい上に情報満載でした。

一方でこういうところをアピールしないで就職内定率をアピールしている広告を見ると、何とも筋違いに思えてなりません。
もちろん、私立大学の4割くらいは、入学者が定員割れしていると聞いたことがありますから、入学志願者を集めるのに必死になるのも分かりますし、そのためには、就職内定率をアピールするのが手っ取り早く効率的だというのもうなづけます。
でも、上に挙げてきたように、まやかしの内定率によって入学志願者を募集することや、ミスマッチなく社会で活躍できることに目を向けない「内定至上主義」を、教育機関がやっちゃったらマズイんじゃないの?と思うのです。
以上、広告で就職内定率をアピールする大学について、物申してみました。