内閣支持率はなぜ新聞によって違うのか?世論調査の裏話

こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!

政治的なイベントが起こるたびにニュースで取り上げられる内閣支持率。

でもこの内閣支持率、新聞社によって結構差があるんです。

今回は世論調査の仕組みと、新聞社によって数字が変わる理由について。

各社で異なる内閣支持率

新聞各社が、2015年10月7日の安倍内閣改造を受けて、内閣支持率を発表しています。

各社の支持率をまとめると、次のようになります。

新聞社 支持率
共同通信 45%
読売新聞 46%
日経新聞 44%
毎日新聞 39%

(引用:ZAKZAK

読売新聞が支持率46%であるのに対して、毎日新聞は39%。6%もの開きがあります。

たかが6%と思うかも知れませんが、3%でも上昇すればニュースになったりしますから、内閣支持率という数字においては、6%は決して低くないと思います

また、後ほど紹介しますが、2008年に福田内閣が内閣改造を行ったときには、読売新聞が41%に対して、毎日新聞は25%と、16%もの差が開いたことがあったのです。

一体なぜ、新聞社によって、内閣支持率に違いが生まれるのか?

内閣支持率に限らず、こういった世論調査に影響を与える要因は、だいたい次の5つにまとめることが出来ます。

  1. 調査方法
  2. 調査の対象者
  3. 質問の聞き方
  4. 質問の順番
  5. 選択肢

では、それぞれ、なるべく分かりやすく解説してみたいと思います。

1.調査方法

そもそも、内閣支持率の調査ってどんな方法で行われているか、知っているでしょうか?

実は、新聞各社が使っているのは、電話調査なんです。

コンピュータを使って、ランダムに作った電話番号に発信し、電話に出た人を対象にアンケートを取るんです。(正式にはRDD調査と言います。)

ちなみに、電話をかける対象は固定電話です。

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また、電話調査ではない世論調査の例として、最近ではインターネットでのアンケートがあります。

実は、IT関連企業のドワンゴが、ニコニコアンケート「月例ネット世論調査」というのを実施しているんです。

調査時期が若干ずれてはいますが、2015年10月21日に実施した調査では、安倍内閣の支持率は49.7%。新聞各社と比べると、高い支持率ですね。

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世論調査は毎月実施されているようです↑

割と簡単にイメージしていただけると思いますが、固定電話に出る人と、ニコニコアンケートに答える人は、年齢も生活環境もまるで違いますよね

このように調査方法が変われば、当然結果も変わってくるわけです。

2.調査の対象者

新聞各社の支持率調査は、どこも電話調査なので、調査方法による違いはありません。

しかし、例え調査方法が同じでも、対象者が違うことによって結果が変わる場合があります

新聞各社が電話調査を行うとき、必ず最初に「○○新聞の世論調査です!」と名乗ります。

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私はそもそも新聞を取っていませんし、詳しいことは語れませんが、新聞にはそれぞれ、保守的だとか共産主義的だとか、思想や論調が異なることがあります。

何が言いたいかというと、新聞社に対して、好き嫌いをもった人って結構いると思うんです。

○○新聞は○○だから好きじゃない、みたいに。

そうすると、世論調査の電話がかかってきたときに、もし嫌いな新聞社の世論調査だったら、回答を拒否して電話を切るかも知れませんよね。(もちろん、当然の権利です)

すると、結果的に調査の対象者は、その新聞社の考えを比較的支持する人たちに集中します。

その結果、新聞社によって、世論に差が出てくるなんてことがあり得るというわけです。

3.質問の聞き方

続いては、質問の聞き方、つまりアンケートの文章ですね。

ここで、とんでもなく支持率に、差が開いた世論調査をご紹介します。

2008年8月に福田内閣が内閣改造を行った直後に行われた世論調査です。

新聞社 支持率 不支持率 支持+不支持計
読売新聞
41%
47% 88%
日経新聞
38%
49% 87%
毎日新聞 25% 52% 77%
朝日新聞 24% 55% 80%

これを見ると、毎日新聞、朝日新聞に比べて、読売新聞、日経新聞の内閣支持率が、異常に高いのが分かります。

実は、この調査結果には、質問の聞き方が大きく影響していたんです。

先ほどの支持率に、実際の質問文を加えてみます。

新聞社 支持率 不支持率 質問
読売新聞
41%
47% 福田首相は、内閣を改造しました。あなたは、この福田改造内閣を、支持しますか、支持しませんか。
日経新聞
38%
49% あなたは改造後の福田内閣を支持しますか、 しませんか。
毎日新聞 25% 52% 福田内閣を支持しますか。支持しませんか。
朝日新聞 25% 55% 福田内閣を支持しますか。支持しませんか。

朝日新聞と毎日新聞は、過去の世論調査と同じ聞き方をしているのに対して、読売新聞と日経新聞は、「福田総理が内閣を改造した」ということを対象者に伝えた上で、支持・不支持を聞いているのです。

おそらく、この時の支持率でここまで差が開いたのは、聞き方が一番の原因であろうと言われています。

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聞き方が変われば、当然このように回答が変わってくるわけですね。

また、支持でも、不支持でもない人に対して、「どちらかといえば?」「敢えていうなら?」という聞き直しをどこまでしつこくやるかによっても、結果は変わってきます。

同じ「内閣支持率」と言っても、中身は別物だったりするわけです。

4.質問の順番

質問の聞き方と同じように、影響を与える要因として、質問の順番があります

例えば、次の2つの質問順のパターンを比べてみましょう。

【質問パターンA】

  1. まず最初に、あなたは安倍内閣を支持しますか?しませんか?
  2. あなたは「一億層活躍社会」の実現に期待しますか?しませんか?
  3. あなたは安倍総理の経済政策「三本の矢」に期待しますか?しませんか?
  4. あなたは消費税10%への引上げに賛成ですか?反対ですか?

【質問パターンB】

  1. あなたは「一億層活躍社会」の実現に期待しますか?しませんか?
  2. あなたは安倍総理の経済政策「三本の矢」に期待しますか?しませんか?
  3. あなたは消費税10%への引上げに賛成ですか?反対ですか?
  4. では最後に、あなたは安倍内閣を支持しますか?しませんか?

違いは、安倍内閣の支持を尋ねる質問が、最初に来ているか最後に来ているか、です。

実はこの違いでも、支持率の結果には違いが出ると思います。

【質問パターンA】の場合は、何も情報を与えずに、フラットな状態で、支持するか、支持しないかを答えます。

しかし、【質問パターンB】の場合には、個別の政策についての質問に答えた上で、支持する、支持しないを答えることになります。

そうすると、人は無意識に、前の質問の答えと、つじつまが合うように答えてしまう傾向があるんです。

例えば、安倍内閣自体は支持しているけれども、個別の政策は期待できないものも多い、と考えている人がいるとします。

その人は、【質問パターンA】なら「支持する」と答えるはずですが、【質問パターンB】なら、最初の3問の答えと整合性を合わせて、「支持しない」と答える可能性が高いのです。

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このように、質問の順番によっても、調査結果は変わることがあるのです。

5.選択肢

最後は、質問に答える選択肢について。

一番最初に紹介した内閣支持率では、毎日新聞が他社に比べて低いという結果を紹介しました。

実は、この調査に限らず、毎日新聞の内閣支持率調査は、常に他社よりも低めに出る傾向があるのです。

その理由は、毎日新聞の世論調査には、「支持する」「支持しない」の他に、「関心がない」という、他社にはない選択肢があるから

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「支持する」でも「支持しない」でもなく、「関心がない」という選択の余地を与えている分、支持率の数字は低くなりがちというわけです。

似たような例として、「医師の○%が飲み続けたい」みたいな広告に使われているアンケート調査も、「どちらともいえない」という選択肢を省くことで、より高い数字に見えるという側面があります。

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○%の医師が飲み続けたい(食べ続けたい)と答えました
という訴求をするものを頻繁に見かけるようになりました。
個人的にこういう広告には違和感を感じる…

このように、選択肢の数を変えるだけでも、調査の結果は大きく変わるのです

まとめ

今回は、内閣支持率の話を中心に、世論調査の結果に影響を与える様々な要因についてまとめてみました。

ただし、世論調査や内閣支持率に意味がない、というわけではありません。

確かに、異なる新聞社の内閣支持率を比べる意味はありませんが、同じ新聞社の支持率を時系列でみる分には、意味があります

つまり、支持率が上がった、下がったという話ですね。

同じ調査方法や質問の聞き方で行っていれば、上がった下がったには、意味があるからです。

世論調査の結果を伝えるメディアも、それを受け取る私たちも、調査にはこういう背景があることを知っておく必要があるのかも知れません。

また、世論調査に限らず、例えば広告においても、アンケートなどの調査結果が使われることがありますが、このページで説明してきたことと同様に、色々な要因で結果は大きく変わります。

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中には、明らかに都合の良いデータだけを使っているケースもありますので、消費者としては注意が必要だと思います。

では、今日も頑張らずに楽しんでいきましょう~!