こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!
ダイソン掃除機の代名詞といえば、「吸引力」ですが、実は、必ずしも吸引力が強いというわけでは無いんです。
今回はダイソンの掃除機の秘密(?)とダイソンのマーケティングの凄さについて、書きたいと思います。
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目次
吸引力が変わらないただ一つの掃除機。
ダイソンの掃除機のキャッチコピーと言えばお馴染み、
吸引力が変わらないただ一つの掃除機。
でも、知ってましたか?
吸引力は変わらないけど、そもそも吸引力が「強い」わけではないということ。
これは後ほど紹介しますが、都市伝説でも何でもなく、ちゃんと国民生活センターが行った調査による結果なのです。
でもそれによって、掃除性能が劣るのかというと、そうでもないのです!
むしろそこに、ダイソンのマーケティングの巧みさを感じられる部分があるんです!!
ダイソン掃除機の吸引力はむしろ弱い?!
少しデータが古いですが、国民生活センターが行った、掃除機の吸引力比較の調査結果をご紹介します。
このグラフは、調査結果報告書から抜粋したものです。
縦軸が「吸込仕事率」となっていますが、これがいわゆる吸引力と考えて良いようです。
横軸は「吸い込んだモデルごみの量」、つまり右にいくほど掃除機がたくさんゴミを吸い込んだ状態す。
ダイソン(DC-12)以外の掃除機は松下(現・Panasonic)、日立、三菱などの国内メーカーのものですが、ゴミを吸い込んでいくに連れて、吸引力が右肩下がりに低下していきます。
それに比べてダイソンは・・・
確かに吸引力はほとんど落ちていません!
いや、でもそもそも吸引力低いし!!
「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」というキャッチコピーは、確かに嘘ではなかったですね(笑)
吸引力が弱いけど性能は劣らないカラクリ
この結果を見て、だまされた!と思う方もいるかも知れません。
でもそう決めつけるのは、少々短絡的です。
なぜなら、ダイソンの掃除機は吸引力が弱いから、国内メーカーの掃除機と比べて性能が劣るのかというと、実際はそうではないんです。
そこにはカラクリがあります。
先ほどの「吸込仕事率」(つまり吸引力)はヘッド部分をつけていない状態で測るものなんだそうです。
↑ヘッド部分とはここのこと
国内メーカーの掃除機と、ダイソンの掃除機には、ヘッド部分に違いがあります。
何が違うかというと、吸込み口と床の距離、らしいです。
ダイソンの掃除機は、国内メーカーの掃除機に比べて、床と吸込み口の距離が近いのだそう。
つまり、ダイソンの掃除機のほうが、床に密着しているわけです。
だから、テストでの吸引力自体は弱かったとしても、床のゴミを吸い込む性能で他社に劣るわけではないのです。
国内メーカーの裏をかくダイソンの戦略
ここまで紹介したように、ダイソンの掃除機は、他社に比べて吸引力が勝るわけではありません。
でも、ダイソン=吸引力というイメージは、めちゃめちゃ強いですよね?
「ダイソンと言えば?」と100人に聞いたら、50人くらいは「吸引力!」と答えそうじゃないですか?
むしろ「吸引力」なんて単語、ダイソンの広告くらいでしか耳にしません。
これこそ、ダイソンのマーケティング戦略の凄さだと私は思います。
徹底したブランディングによって、ダイソン=吸引力という強固なイメージを作り上げて(植えつけて)いるのです。
そういえば、日立から、ダイソンに対抗するかのように、吸引力を売りにした掃除機が販売されています。
でもそうやって「吸引力」で追随するほど、ダイソンの戦略にまんまとハマっているとしか思えないんですよね。
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サイクロン技術は新しい技術ではない
われわれはダイソンの徹底したCMで、ダイソンの掃除機は最新のサイクロン式だから吸引力が強い、みたいなイメージを持っていると思います。
ダイソンのWebサイトにも、こんな記載があります。
ダイソンは1983年に紙パックを使用しないサイクロン技術を発明しました。その後、世界で初めて遠心分離の力を利用した吸引力の変わらない掃除機G-Forceを日本で発売しました。(引用元)
でも、詳しい方に聞くと、実はサイクロン自体は、決して新しくも何でもないそうです。
簡単に言えば、お風呂の栓を抜いたときに渦巻きが起きる現象がサイクロンで、このサイクロンは他の分野でいろいろ活用されているそう。
では、なぜ国内メーカーは、サイクロンを掃除機に用いなかったのでしょうか。
それはなんと、吸引力が弱いから、というのが理由が大きいようです。
サイクロン掃除機は、確かに吸引力は落ちないのですが、サイクロンを回すことに大きなエネルギーを使ってしまうため、強い吸引力を生み出すことが出来ないんだとか!
ダイソンの戦略の何が凄いかと言ったら、吸引力が弱く国内メーカーが手を出さないサイクロン技術を使って、ダイソン=吸引力というイメージを作り上げてしまったことなんじゃないかと思います。
まさに、他社の裏をかいたような巧みな戦略だと思います。
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吸引力の強さより変わらないことを巧みにアピール
もうひとつ、面白い事実があります。
先ほどの国民生活センターの調査結果、ダイソンにとっては本来、非常に都合が悪いものだと思いますよね!?
だって、吸引力が弱いことがバレてしまうのですから。
でも、ダイソンはこの調査結果を、驚くべきことに広告としてアピールしているのです!!
それが、こちら。
一番上にある黄色がダイソン、その他の灰色が他社です。
ん?んん??
先ほどのグラフと、違いが分かりやすいように横並びにしてみました。
折れ線の波形がやや違うので、実際には別の時期や機関によって行われた調査だとは思います。
ただ、重要なのは縦軸です!!
国民生活センターの報告書(左)の縦軸は「吸込仕事率(W)」、つまり吸引力です。
それに対して、ダイソンのWebサイト(右)の縦軸は「吸引力の持続率(%)」となっているんです!!
つまり、吸引力の強さを表すグラフではなく、最初の吸引力を100として、それがどれだけ持続するのか、というグラフに書き換えていることが分かります。
こうすることで、もともとの吸引力の弱さを隠し、吸引力が変わらない、という強みだけに注目が集まるグラフにしているのです!
このグラフの見せ方は、非常にうまいと思います!!
Webサイトでは文章でも次のように書かれています。
国際的な調査機関でのテスト結果によれば、他のプレミアム掃除機がどのような説明をしようとも、実際には吸引力が低下してしまいます。ダイソンのサイクロンテクノロジーだけが吸引力を維持する事ができます。(引用元)
物は言いよう、とはまさにこのことかも知れません。
いや~、ダイソンのマーケティング戦略の巧みさには脱帽です。
まぁ基本的に、広告に使われる数字やデータは、都合よく「物は言いよう」で使われているケースが多いですけどね。(↓興味があればこちらもどうぞ!)
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ということで今回は、マーケティングのコラムをお届けしました。
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