こんにちは。ユージーンです。
テレビCMなどの広告で頻繁に見かける、売上No.1っていう、宣言文句。
売上No.1って聞くと、皆さんは買いたくなったり、安心したりするんですかねー。
私は正直、まったく心に響かないことがほとんどです。
なぜかというと、信頼するに足らない売上No.1が多すぎるからです。
今回は、広告における売上No.1がいかに信頼できないか、というお話。
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目次
なぜ缶コーヒーにはいくつもNo.1があるのか??

そもそも、広告でNo.1と宣伝することについて、消費者庁は次のようなガイドラインを出しています。
No.1表示の根拠となる調査結果に即して,一般消費者が理解することができるようにNo.1表示の対象となる商品等の範囲を明りょうに表示すること。(引用元)
◆コカコーラ「ジョージア」◆
勘の良い方はお分かりかもしれませんが、それぞれ「うちがNo.1だよ!」と言っているカテゴリーの定義が違うんです。
まず、コカコーラ「ジョージア」は、どうでしょうか?
これは「缶コーヒー市場売上本数シェアNo.1」と書かれています。
缶コーヒーカテゴリー全体でNo.1です。
これは正真正銘のNo.1ですよね。納得です!!
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なんですね。
まあ、これも理解は出来ますね!!
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最後は、ダイドー「デミタスコーヒー」です。

注釈を細かく見ていくと、小容量とは、どうやら180ml以下を指しているようです。
つまり、一般的なサイズを除き、それよりも小さい缶コーヒーの中でのNo.1ということになりそうです・・・。
うーん。このNo.1ってどんな意味があるんだろう??
No.1なんて定義次第でいくらでも言える
缶コーヒーの例を挙げましたが、缶コーヒーに限らず、多くのカテゴリーで同じように売上No.1の乱立は見られます。

つまり、カテゴリーをどう定義するかによって、売上No.1なんて変わるのです。
逆に言うと、売上がそこそこの商品でも、何とか売上No.1だと言えるように、カテゴリーを細かく区切って定義する、ということも、まあ普通に行われている話です。
最近はやたらと、テレビCMなどで売上No.1を目にすることが増えたと感じますが、本当の意味で納得感のある売上No.1はあまり多くないな、と思っています。
カテゴリーの定義以外にも、No.1が揺れ動く原因はいくつかあります。
例えば調査方法。
同じ缶コーヒーの売上でも、セブンイレブンと、イオンと、Amazonで売れ筋は当然違います。
もっと言えば、同じコンビニでも、セブンイレブンとローソン、ファミリーマートでも違う。
売上No.1という場合、こういった店舗での販売データを使っていることが多いですが、調査機関によって調査方法が異なるため、どんな店舗からデータを収集しているかは変わってきます。
そうなってくると、カテゴリーの定義が全く同じだったとしても、調査機関によって売上No.1が変わる事もあるのです。
更に言えば、調査期間(○年○月~○月)が変わっても、当然No.1も変わる可能性があります。
ちなみに、先ほどのダイドー「デミタスコーヒー」はどういうわけか、2014年3月~2015年5月という15か月間という不思議な期間設定になっています。
理由は分かりませんが、消費者からすると、普通1年じゃないの?なんか怪しい!って思ってしまいますよね?!
(あ。そんなマニアックなの私だけですね、きっとw)
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広告で示されたデータはまず疑え
きっとここまで読んでいただいた方は、「売上No.1」という訴求がいかに都合よく使われ、怪しいものであるか、分かっていただけたと思います。
しかし、売上No.1に限らず、広告で示されるデータは、基本的に怪しいと思っていただいたほうが良いと、私は思います。
たとえば・・・
- 利用者数No.1
- シャンプー使用者の70%が指どおりを実感
- 100人中80人がまた使いたいと答えました
- 医師の80%が推奨
みたいなやつです。
特にテレビCMなんて15秒の世界ですから、なるべくイメージが良く伝わるように、データが都合よく使われている可能性は非常に高いです。
例えば、ダイソンの掃除機は一貫して、「吸引力が変わらない」ということをうたい、Webサイトでは、吸引力のグラフも使ってダイソンの掃除機の凄さを説明しています。
しかし、ダイソンの掃除機は、吸引力は変わらないけれど、そもそも吸引力自体は低い、というカラクリがあります。
こちらは別の記事に詳しくまとめていますので、興味があればのぞいてみて下さい。
消費者に選ばれたから売上No.1…ではない!!
最後に、そもそも論になってしまいますが、売上No.1だから品質が高いとか、売上No.1だから多くの人に愛されていると考えるとか、そういう考えは、実は正しくないんです。
なぜかというと、売上No.1は、消費者の支持で決まるものではないから。
もちろん、消費者に支持されることは大事ですが、売上にはそれ以外の要素がとても大きく影響します。
中でも特にインパクトが大きいのが、販売ルートです。
つまり、どれだけ多く、そして販売規模の大きい店舗に、商品を置いてもらえるか、と言う話です。
消費者に愛されるから売れる、よりもまず、お店に置かれるから売れる、のです。
2つほど例を挙げますね。
セブンイレブンに商品を置いてもらうインパクト
例えば、コンビニの中でもセブンイレブンというのは、全国に16,000店舗を抱える、圧倒的な販売力を持つチェーンです。
そうなると、セブンイレブンに商品を置いてもらえるかどうか、というのは売上にめちゃめちゃ大きく影響します。
実際には、中小のメーカーがセブンイレブンに商品を置いてもらうことはとてもハードルが高いと聞きます。
セブンイレブン側も、売場は限られている中で、きちんと売れる(利益を出せる)商品を置きたいわけですから、バイヤーの目は厳しいからです。
その際、例えばテレビCMを流すかどうか、というのは非常に重要です。
つまり、メーカーから、「この商品は今期これだけのCMを流します!! 消費者の注目が集まるからぜひ置いてください!!」というわけです。
テレビCMなど、千万~億単位でお金のかかる話ですから、中小メーカーが簡単に出せるものではありません。
だんぜん、大手メーカーが有利です。
また、納価も大事な要素です。
セブンイレブンへの卸値、つまりセブンイレブンの仕入れ値です。
仕入れ値が安ければ、セブンイレブンはその分利益を多く出すことが出来るので、その商品を扱ってもらいやすくなります。
それについても、大手メーカーのほうが、体力もあり、大量生産する分コストも下げられるので、やはり有利なんです。
圧倒的な販売ルートを持つコカコーラ
また、先ほど缶コーヒーの売上No.1はコカコーラ「ジョージア」と紹介しましたが、実はコカコーラは圧倒的な販売ルートという強みを持っています。
そう、自動販売機です。
コカコーラの自動販売機は、全国に83万台もあります。
2位のサントリーは49万台ですから、本当に圧倒的な数です。
しかも自動販売機は、セブンイレブンと違って、何を並べるか全て自社でコントロール出来るわけですから、これは強力な武器です。
あなたがのどが渇いて、自動販売機でお茶を買おうと思ったとします。
本当は伊藤園の「お~いお茶」が買いたかったとしても、そこにコカコーラの自動販売機しか無ければ、「爽健美茶」か「綾鷹」を買うしかないのです。
これはまさに、消費者に支持された売上ではなく、販売ルートの力による売上です。
このように、商品の売上は、消費者の支持とは関係のないところで大きく左右されるものなのです。
そう考えると、広告で売上No.1!と言われても、大して魅力に感じなくなってきませんか?!
今回はここまで。
では、今日も頑張らずに楽しんでいきましょう~!