こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!
以前、コンサルティングの仕事をしていた際、ある先輩コンサルタントから教わった企画書の作り方によって、企画書を作るスピードが早くなり、企画書の質も評価されることが増えました。
転職した現在でも、このスキルは十分に通用しているなぁと感じます。
そこで今回は、そんなコンサル流の企画書の作り方の基礎を解説。
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目次
企画書はいきなりパワポで作り始めてはいけない
企画書を作るとき、いきなりパワポ(PowerPoint)を立ち上げて、タイトルから資料を作り始める人がいますが、これはオススメできません。
なぜなら、企画書を何となく作り始めると、企画書の内容やストーリーがまとまっていないため、相手に伝わりづらい資料になってしまうケースが多いからです。
もちろん、それを後から修正することも出来ないことはありませんが、不要なスライドを作ってしまうことで無駄な時間を費やしたり、後で順番や内容をぐちゃぐちゃに入れ替えるのに、膨大な時間がかかってしまうというデメリットがあります。
パワポは企画書を作る「ツール」でしかない
現在の日本では、企画書はパワポで作るのが主流になっていると思います。
確かにパワポは優れたプレゼンテーションのソフトで、非常に便利なツールですが、それ以上でも、それ以下でもありません。
ツールが優れていても、中身が伴っていなければ、まったく低品質な企画書になってしまいます。
つまり、馬鹿とパワポは使いよう、ということですね。
企画書の作り方で大事なのはストーリー
企画書を作るということは、企画書を読む相手がいて、その相手に何かをプレゼンし、その提案を受け入れてもらう、という目的があるはずです。
企画書はプレゼンですから、なんといっても大事なのは「ストーリー」です。
納得感のあるストーリーがなければ、相手の心に刺さらないどころか、理解すらしてもらえないかも知れません。
ストーリーが無ければ、良い企画書を作ることなんか出来ないのです。
つまり、企画書を作るときに一番大事なことは、提案のストーリーを作ること。
何を、どんなストーリーで説明すれば、相手が納得して提案を受け入れてくれるのかを考えるのです。

企画書の作り方で一番重要なのはこのストーリーで、逆に言えば、ストーリーさえできてしまえば、企画書は7割完成していると言っても過言ではないと思います。
もっとも、このストーリーを頭の中で完璧に組み立てられてる、という場合は、いきなりパワポで作り始めてもいいでしょう。
ただし、それってかなり高度な技術なので、相当な企画書の作成経験や訓練がないと、難しいと思いますが。
では、ここからは企画書のストーリーの作り方の解説です。
企画書の相手とゴールを明確にする
ストーリーを作る最初のステップは、企画書でプレゼンする相手とゴールを明確にすることです。
誰に、何を受け入れてもらうのかが決まっていなければ、提案のストーリーなど作りようがないので、このステップは必ず必要です。
そんなの当たり前じゃないかと思うかも知れませんが、これが明確になっていないために、下手くそな企画書になっているケースをよく見かけます。
誰を納得させるための企画書なのか?
例え同じプロジェクトについての企画書であっても、社内の稟議を通すための企画書と、別の会社に協業を持ちかけるための企画書では、当然同じストーリーであるはずがありません。
もっといえば、同じサービスを複数の会社に対して提案するような場合でも、その会社の状況によってベストなストーリーは異なります。
その会社にとっての初めて導入するサービスであれば、「そのサービスを導入するメリット」に主眼が置かれるべきですが、既に類似サービスを導入しているのであれば「新しいサービスに切り替えるメリット」を主眼に置くべきです。

あるいは、プレゼンする相手の立場や部署の役割が、売上拡大なのか、コストカットなのかによってもストーリーは変わってくるはずです。
まずは、誰を納得させる企画書なのかを明確にしましょう。それもなるべく具体的に。
企画書のゴール(目的)は何か?
もう一つ、最初に考えるべきは、企画書のゴールです。
ゴールとはつまり、企画書の説明を受けた相手が、どんな状態になっていれば良いのか、ということです。
例えば、
- 提案の内容を理解してもらえればいいのか?
- プロジェクトの実施を承認してもらえればいいのか?
- 上司(決裁権のある人)も含めてもう1回詳しく提案してもらおうと思ってもらえればいいのか?
それによって、ストーリーは変わってくることもあるでしょう。
誰に、何を受けていれてもらうのか?
最初にこれを明確にせずして、相手に刺さる企画書を作ることなど、到底できません。
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箇条書きでストーリーを組み立てる
企画書で説得する相手とゴールが決まれば、相手の立場を考えながら、ゴールに向かって、ストーリーを組み立てていきます。
その際、ワード(Microsoft Word)など使って箇条書きで整理していくのがオススメです。
ゴール達成に必要な内容を考える
まず、企画書にどんな内容が盛り込まれていれば、設定したゴールにたどり着けるのかを、考えていきます。
例えば、社内に新規事業を進める承認を通すための企画書だとこんな感じ。
提案のゴール:新規事業を承認してもらい予算を通す
【新規事業を承認してもらうのに必要なこと】
・どんな事業をやるのか?
・なぜその事業をやる必要があるのか?
・その事業は実現可能なのか?
そもそも、事業の内容が理解できないことには、承認もくそもありませんし、内容が分かっても、会社としてその事業に乗り出す意義が感じられなければ、承認はもらえません。
また、内容が分かって会社として意義があっても、投資と利益の見込みや、スケジュールが実現不可能なものであれば、そもそも実現できません。
逆に、事業の内容も、その事業を会社がやる価値も、さらに実現可能であることも理解できれば、(その内容が妥当なら)承認できるのではないでしょうか。

ここで重要なことは、MECE(ミーシー)に考えることです。
MECEというのは「ダブりなく、モレなく」という意味でロジカルシンキングでよく使われるフレーズです。(※Mutually Exclusive、Collectively Exhaustiveの略)
つまり、上の例では、新規事業を役員や部長に承認してもらうために必要な要素を、「ダブりなく、モレなく」書き出すのです。
現実的には、完ぺきにMECEな状態になっていなくても、ある程度、出来の良い企画書は作れますが、洗い出すときの意識としてMECEを心がけると、より企画書の内容が充実するでしょう。
ゴールに必要な内容を細かく掘り下げる
一つ前の章で挙げた内容は、大まかな括りでしたが、実際にはもっと掘り下げていくことが必要です。
先ほどの続きだと、例えば、次のような感じです。
・提供するサービスの内容は?
・ターゲット顧客は?
・マネタイズ(収益化)の方法は?
:
B. なぜその事業をやる必要があるのか?
・会社の目指す方向性と合っているか?
・会社に(利益以外の)どんなメリットがあるのか?
・現在の事業とのシナジーはあるか?
・株主や顧客からの会社のイメージは良くなるか?
:
C. その事業は実現可能なのか?
・どのくらいの投資が必要か?
・どのくらいの利益が見込めるのか?
・スケジュールとロードマップは?
:
もちろんここでも、MECEを意識することは大切です。そして、出来るだけ細かく、論点を分解していきます。
実は、この掘り下げた箇条書きが、そのままパワポの企画書のページ構成になるんです。(詳しくは後ろの章で解説します。)
面倒くさいと思うかも知れませんが、ここまで出来れば、企画書は7割完成だと思っても良いくらいなので、時間をかけてでもここはキッチリやりましょう。
また、出来ればこの段階で、上司やプロジェクトメンバーに共有して、ヌケモレがないか、チェックしてもらうのがオススメです。
相手の立場になって、ストーリーに仕上げる
企画書に盛り込む内容が、モレなく書き出すことが出来たら、あとは順番を意識すればストーリーが出来上がります。
実は、ストーリーの順番は必ずしも、1パターンではなく、いくつも考えることが出来ます。
例えば、先ほどの例で、A→B→C の順番で説明するとこうなります。
A. この度、新規事業として、○○事業を会社に提案します。具体的な内容は△△です。
B. なぜこの事業を当社がやるべきかというと、□□という状況だからです。
C. 投資と利益の見込みは××、リリースまでのロードマップは▽▽です。
あるいはB→A→C の順番で説明すると、
B. 当社は現在□□という状況に置かれています。
A. この状況を踏まえ、新規事業として、○○事業を会社に提案します。具体的な内容は△△です。
C. 投資と利益の見込みは××、リリースまでのロードマップは▽▽です。
という感じになり、どちらもストーリーとして成立していますよね。
ストーリーの順番を考える上で大切なことは、相手の立場になることです。
相手の知識や、興味関心、立場、性格によって、ベストなストーリーの順番を選ぶのです。
あの人はすでに、新規事業に興味を持ってくれているから、最初に事業内容の説明をしたほうが理解してくれそうだな。よし、A→B→Cの順番で行こう。
とか、あるいは、
あの人は新規事業をやることに懐疑的だから、まず新規事業をやる理由から説明したほうがいいな。じゃあ、B→A→Cの順番で行こう。
というように。
確かに企画書には、定番の流れのようなものがあります。
提案の背景、次に課題、次に提案の内容説明、スケジュールと予算…みたいに。
もちろん、それが一つの分かりやすいストーリーではあるのですが、相手の状況に合わせて、ストーリーは変えたって構わないのです。
むしろそのほうが、相手にきちんと伝わるプレゼンになる可能性が高いです。
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作ったストーリーを企画書に落とす
最後は、ここまで作り上げたストーリーを、パワポの企画書に落とし込んでいきます。
ただし、事前に企画書に盛り込む内容を、箇条書きで細かく論点分解し、ストーリーがきちんと出来上がっていれば、実はここはあまり頭を使わなくても良い、単純作業だったりします。
つまり、作ったストーリーを、そのままパワポのスライドに落とし込んでいけばいいのです。
例えば、A→B→Cの順番でストーリーを組み立てる場合、
B. なぜその事業をやる必要があるのか? →第二章
C. その事業は実現可能なのか? →第三章
となり、それより細かい部分は、それぞれスライドを分けていけばいいのです。第一章なら、
ターゲット顧客は?→P.2
マネタイズ(収益化)の方法は?→P.3
という感じです。
もちろん、スライドのタイトルなどは、変更しても構いませんが、事前に作ったストーリー通りに、企画書のスライドを作っていきます。
事前に箇条書きで作ったストーリーは、企画書のゴールを達成するために必要な情報が漏れなく組み込まれていますから、それをそのままパワポのスライドに落とし込んでいき、各ページのコンテンツを充実させていけば、相手に刺さる、良い企画書の出来上がりです。
コンサル流企画書の作り方まとめ
ということで今回は、コンサル流の企画書の作り方を解説しました。
最後にポイントをおさらいすると、
- いきなりパワポで作り始めない
- まず、企画書の相手と、ゴールを明確にする
- ゴールにたどり着くために必要な内容を箇条書きで整理する
- 相手に合わせて提案ストーリーの順番を考える
- 作ったストーリーをそのままパワポに落とし込む
という感じです。
一見、面倒くさいと感じるかも知れませんが、この企画の作り方には、無駄なスライドを作ることが無くなるので、結果的に資料作成のスピードもアップしますし、何より説得力のある企画書に仕上げることが出来るので、本当にオススメです。
かなり詳しめに解説をしたつもりですが、初めはぜひ、同じようにステップを踏んで作ってみると良いと思います。
この企画書の作り方に慣れてきて、自然と頭の中である程度ストーリーを組み立てられるようになったら、前半はある程度、端折っても問題ないでしょう。
また、今回は「企画書の作り方」として解説しましたが、実はこの考え方は、仕事全般に応用することが出来る、便利な仕事の進め方でもあるんです。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、合わせてどうぞ。
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