電通社員の自殺を防ぐには「逃げろ!」と全力で言ってくれる人が必要だった

手繋ぎ

こんにちは。ユージーン(@Eugene_no2)です!

電通の新入社員が過労の末に自殺してしまった件、本当に悲しい。

色んな人の発信する意見を見ていると、「自殺するほど追い込まれる前に辞めれば良かったのに」とか「なぜ逃げなかったのか?」という意見が見られます。

確かにそれはそうなんだけど、ちょっとズレてるなと感じます。わたし自身、うつ病の一歩手前まで行ってしまって、会社を4ヶ月休職した経験があるので、彼女がどういう状態だったか、少しは分かるつもり。

間違いなく彼女は、「休職する」「辞める」という冷静な判断を、自分で出来るような精神状態ではなかったはずです。そしてこれは誰にでも起こり得る話で、他人事ではありません。

追い込まれると冷静な判断は出来なくなる

冷静に考えたら、仕事で追い詰められて自殺するなんて、どう考えたって間違った判断です。

今の日本で強制労働なんてあり得ないし、法律的にも辞めたいと思えば、いつでも辞めることが出来る。

だから、自殺するほど追い込まれる前に、辞めれば良かったのにという意見は、間違ってはいません。でもね、問題はそこじゃ無いんですよ。

問題は、彼女が冷静な判断を下せるような体調や精神状態ではなかったはずだということなんです。

彼女のツイートから想像できる状況とは?

今回は彼女のツイートが残されているので、少々気持ちが重くなりますが、いくつか掲載しておきます。

(現在非公開アカウントになっているため、他サイトからの転載です。ご容赦ください。)

日曜の昼過ぎにお風呂はいって会社行って会社で寝るライフスタイルにはまりつつある…

— まつり (@matsuririri) November 1, 2015

22時前に帰れるなんて…奇跡だ

— まつり (@matsuririri) December 16, 2015

1日20時間とか会社にいるともはや何のために生きてるのか分からなくなって笑けてくるな。

— まつり (@matsuririri) December 17, 2015

彼女のツイートにはこれ以外にも、「徹夜」という単語が散見されるようで、昼夜や土日を問わず仕事に追われていたことが推察できます。

少なくとも、十分な睡眠時間や休養が取れていたとは考えづらいでしょう。また、

部長「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「会議中に眠そうな顔をするのは管理ができていない」「髪ボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「今の業務量で辛いのはキャパがなさすぎる」
わたし「充血もだめなの?」

— まつり (@matsuririri) October 30, 2015

私の仕事や名前には価値がないのに、若い女の子だから手伝ってもらえた仕事。聞いてもらえた悩み。許してもらえたミス。
程度の差はあれど、見返りを要求されるのは避けて通れないんだと知る。

— まつり (@matsuririri) December 14, 2015

こういうツイートを見ると、上司や同僚との関係も、決して良いものとは言えず、人間関係によるストレスも多大だったと考えられます。

問題は、残業時間よりも解消できないストレス

彼女の残業時間は、最大で月に130時間とされていますが、何人かの人が書いている通り、「残業130時間」というのはそれほど珍しいものではありません。(まぁ、それも問題なんだけど)

わたし自身も、130時間ほどの残業をしていた時期がありますし、広告代理店の社員ともなれば、実際それくらい働いている人は結構いるものです。

長時間残業に焦点が当たっている節もありますが、真の問題はそこではありません。

分かりやすい話が、大好きなゲームを一日14時間やったって、ストレスにはならないでしょ?

つまり、身体的な疲れはあっても、精神的な疲れはほとんど感じない。

でも、自殺した彼女のように、新入社員で仕事に慣れなていないはずなのに、上司から叱責され、仕事ができないやつというレッテルを貼られ、何とか迷惑をかけないように精一杯気を配りながら、膨大な仕事量をこなすのは、半端じゃないストレスがかかり、多大な精神的疲労があったはずです。

そのストレスも、十分な休養や睡眠が取れていれば、まだある程度解消できるものですが、昼夜や土日を問わず仕事をしていた状況では、それも不可能なことだったでしょう。

精神的な疲労は、冷静な判断力を奪う

そうしてストレスが蓄積していくと、「仕事から逃げるべき」という冷静な判断が出来るような状態ではなくなります。

人間の体は強いストレスがかかり続けると、自律神経のバランスが崩れ(いわゆる、自律神経失調の状態となり、)様々な不調をきたすようになります。

わたしの場合は、適応障害と診断されました。

合わせて読みたい 適応障害とは?その症状とは?〜適応障害闘病記1〜 | No.2宣言
このページでは、そもそも適応障害とは何か?どんなどんな症状なのか?についての基礎知識をまとめています…

その影響は、吐き気や頭痛のように、体の異常として起こる場合もありますが、同じように脳にも異常をきたします。

わたし自身も経験がありますが、休職に追い込まれる直前には、冷静に物事を考えられるような状況ではなく、会議中に議論の内容が全く理解できなくなってしまったり、電話中に突然頭の中が真っ白になって会話を続けることが出来なくなったりしていました。

彼女がどういう状態にあったか、詳しく知ることは出来ませんが、間違いなく言えるのは、冷静な判断なんか出来るような、体(脳)の状態では無かったということです。

全力で「逃げろ!」と言ってくれる人が必要だった

どうすれば、彼女の自殺を防げたのか?

どうすれば、彼女を「仕事を辞める」という冷静な判断に導けたのか?

わたしの経験から導く答えは、全力で「逃げろ!」と言ってくれる身近な人が必要だったということ。本当にもう、これに尽きるんです。

わたしが仕事で追い込まれていたときに「休職」という逃げ道に導いてくれたのは、妻でした。

もう十分頑張ったから、休みなよ!誰もあなたを責めないから。

何度もそう言ってくれたから、「休職」という決断を下すことが出来ましたが、妻が「逃げろ!」と言ってくれていなかったら、もっと追い込まれて、それこそヤバい状況になってしまっていたかも知れません。

ストレスや過労で追い詰められた人間は、自分では冷静な判断なんか出来ません。だからこそ、状況を理解している身近な誰かが、冷静な判断でその人を導いてあげる必要があるんです。

もし、彼女の身近にそういう人がいたならば、うつ病と戦うことはあっても、最悪の状況まではまのがれたかも知れません。

東大卒で電通に入るような優秀な人材は失われずに済んだかも知れないのです。

誰かが、全力で「逃げろ!」と言えていたならば・・・。

非常口サイン

ということで今回は、電通社員の自殺についてわたしが思うことを書きました。

この記事を最後まで読んでくれた方に、お願いがあります。

もし、自分の身近な人に、つぶれそうな人がいたら、気にしてあげてください。

そしてその人の状態を冷静に見極めて、逃げるべきだと思う状況なら、全力で「逃げろ!」と言ってください。

場合によっては、無理やりにでも会社を辞める、あるいは休職する方向に導いてあげてください!

その行動が、その人を救うことになりますから。これは身近な人だからこそ、出来ることなんです。

ストレスで追い込まれるとどういう状態になるのか、わたしの体験をまとめていますので、必要なら参考にしてください。

合わせて読みたい 適応障害とうつ病の最大の違いは症状の持続性 | No.2宣言
ストレスが過剰にかかってくると、自律神経が乱れるように。 体の緊張を高める交感神経が過剰に働いたり、体をリラックスさせる副交感神経の働きが弱くなったりしてしまう…

追記:今回過労死認定された高橋まつりさんは、デジタル広告の仕事をしていました。電通のデジタル広告といえば、つい最近、広告費の過大請求の問題が公になったばかりです。これは必ずしも偶然ではなくて、どちらもデジタル広告部門が恒常的に抱える人材不足や運用体制の未熟さが招いたものという見方が出来ます。詳しくは別の記事で書きましたのでぜひどうぞ。

合わせて読みたい 社員の自殺とデジタル広告不正から読み解く、電通デジタル部門の実態 | No.2宣言
電通の中でも特にデジタル広告を扱う部門の実態を、断片的にではありますが、読み解いてみたいと思います…

では、今日も頑張らずに楽しんでいきましょう~!

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